和訳
滋賀医科大学 上本伸二学長 殿
滋賀医科大学創立50周年という栄えある節目を記念してお祝いの言葉をお送りする機会をいただき、大変嬉しく思います。マレーシア国民大学一同より、心からお祝い申し上げます。マレーシア国民大学(UKM)は、2011年に始まった滋賀医科大学(SUMS)との協定を大変有意義なものと捉えてきました。そして、その価値ある関係が、今また一層強固になっていることを確信しております。マレーシア国民大学と滋賀医科大学両校の研究者は、神経科学分野における遠山育夫教授との共同研究を皮切りに、研究や大学院レベルで互いに協力してきました。遠山教授とMusalmah Mazlan教授は、マレーシア高等教育省(MOHE)の長期助成研究スキーム(LRGS)から授与される助成金を共同で獲得し、「神経変性:健康的な老化を目指して (Neurodegeneration: Towards Useful Aging)」と題した研究を実施しました。この共同研究に基づき、マレーシア国民大学と滋賀医科大学双方の研究者による共同指導のもとで学生4名が博士号を取得することができました。この研究は、マレーシア国民大学出身の他分野の学生にも引き継がれ、神経科学だけでなく他の研究分野においても日本の文部科学省と滋賀医科大学の両方から助成を受けながら発展しました。特に神経科学の分野では、マレーシア国民大学の若手講師がMOHEの助成金に共同で申請するなど、研究における協力が続きました。
連携は大学院生にとどまらず、医学・看護学両分野の学部学生の研修を目的とした交流が2016年に開始され、新型コロナウイルス感染症パンデミックによる中断を経て、2020年に再開されました。例えば、滋賀医科大学の医学生が、マレーシア国民大学において地域医学、内科学、産科婦人科学、救急医学を学び、マレーシア国民大学の医学生が滋賀医科大学で法医学と神経形態学を学びました。また、看護学科の学生も、相互に短期研修を実施しました。2023年10月に滋賀医科大学で研修を行ったマレーシア国民大学の学生達は、貴学滞在時の心のこもった温かいもてなしに大変感謝し、学術的な面は言うに及ばず、日本文化の機微に触れることができたという点においても、素晴らしい学びが得られたと聞いております。
その他、マレーシア国民大学主催の会議やシンポジウムに滋賀医科大学の教授方をお招きしご講演いただいたり、同様に、マレーシア国民大学の教授陣が滋賀医科大学に招待されて講演を行うなどの活動が重ねられています。12年を超える滋賀医科大学との良好な関係により、共同研究や学生研修の機会をつうじて研究者や学生がともに豊かな経験を得ていることに大変感謝しています。今後も両大学が協力し、この実り多い関係を継続、発展、強化させていくことを期待しています。
最後になりましたが、重ねて、滋賀医科大学創立50周年に心よりお祝い申し上げます。
医学部学部長 Professor Dr. Abdul Halin Abdul Gafor