附属病院診療科
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附属病院診療科
附属病院診療科
消化器外科は消化器疾患の外科治療に加え鼠径ヘルニアなどの診療を担当する診療科で、診療科長は谷 眞至が担当している。消化器疾患は臓器も多く、疾患数も多いことから、専門性を高めるため、上部消化管外科、下部消化管外科、肝胆膵外科の3つのグループに分かれて診療に当っている。また、消化器癌の予後向上のためには化学療法とのハーモナイゼーションが必須であり、化学療法に関する知見も常にアップデートするよう心掛けている。
食道癌、胃癌などの悪性腫瘍に加え、食道裂孔ヘルニアや病的肥満症に対する減量手術なども対象としている。食道癌手術では栄養管理に重点を置き、腹臥位での鏡視下手術を基本術式としている。また、再建において胃管が使用できない症例では回結腸再建や遊離空腸再建を行っており、他院で手術困難な症例に対する外科治療の提供は大学病院の使命と考える。早期胃癌に対しては腹腔鏡下手術、進行胃癌に対してはロボット支援下腹腔鏡下手術を施行している。その他、肥満症に対する減量手術は、病的肥満症および糖尿病を含むメタボリック症候群を劇的かつ長期的に改善する手段で、2008年より腹腔鏡下袖状胃切除術を導入し、糖尿病内分泌内科との連携のもとに多職種横断の肥満診療チーム力を養っている。
大腸癌だけでなく、炎症性腸疾患、直腸脱や肛門疾患などを対象としている。初発大腸癌症例は腹腔鏡下手術を基本術式としている。とくに直腸癌は高度な手術手技が必要である。通常の腹腔鏡下手術だけでなく、ロボット支援下手術や経肛門的アプローチであるTaTME法の拡充も積極的に行ってきた。また、結腸癌のロボット支援下手術も保険適応が拡大され、2023年から結腸癌に対するロボット支援下手術を行っている。炎症性腸疾患のうち潰瘍性大腸炎に対する大腸全摘術も腹腔鏡で行っている。潰瘍性大腸炎の手術は再建などでノウハウが必要で、滋賀県内ではあまり手掛けられていない手術であるが、当科では外科治療を提供できている。クローン病に対してKono-S法を導入し、再狭窄のための再手術は減っている。
膵癌、肝臓癌、胆道癌、胆石症を対象としている。肝胆膵領域の癌は特に悪性度が高いが、その中でも膵臓癌の悪性度は高く、治癒切除が見込まれる症例に対し、血管合併切除(門脈、腹腔動脈など)を含む積極的な切除も行っている。また、腹腔鏡下膵体尾部切除術が増加しており、低悪性度腫瘍に対しては脾臓を温存する術式も選択している。肝臓癌はこれまでに腹腔鏡下の切除を推進してきたこともあり半数以上の症例が腹腔鏡での切除が可能になってきた。しかし、肝門部領域胆管癌や巨大な進行癌も未だに存在しており、開腹での積極的な切除も行っている。肝胆膵領域は消化器内科や放射線科との連携が極めて大事な領域でもあり、診断だけでなく治療や処置に対しても密な連携をとるようにしている。腹腔鏡下胆嚢摘出術も積極的に進めている。
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