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看護学科

基礎看護学講座(形態・生理)

平成7年に、本学医学科解剖学第一講座の助教授であった今本喜久子が基礎看護学講座・解剖領域の初代教授に就任した。今本は医学科での解剖学の教育経験をもとに、解剖生理学として60時間の講義が定められていた「人体機構論I」の座学と、生理機能を評価するための「生体観察技法I」の演習60時間を有機的に合わせて担当し、1年生後期に授業・演習を行った。今本は看護学科棟の新築にあたって生体機能実習室を設置し、各学生に双眼顕微鏡と充実した組織標本を、さらには分離人体骨格標本を配備するなど教材を充実させ、科学的根拠に基づいた的確な患者支援を行える看護師の育成につとめた。

平成19年からは、本学のMR医学総合研究センター准教授であった森川茂廣が2代目の教授として着任した。森川は外科医として臨床に従事した後、平成元年から本学においてMR(Magnetic Resonance:磁気共鳴)を用いた生体の内部構造、生理情報、代謝情報の非侵襲的計測の研究に従事し、本学に導入されたオープンMR装置を用いた画像ガイド手術にも携わった。森川はこのような自身の背景や、本領域が担当してきた教育内容を踏まえて、領域名を「解剖」から「形態・生理」に変更した。今本の基本方針を継承しつつ、「人体の構造と生理機能」の講義に臨床医用画像を取り入れ、人体構造を大型3Dモニターに立体表示させる教材などを開発した。また「生体観察技法I」に相当する「フィジカルアセスメントI」の演習では、知識だけでなく患者さんに接する態度の重要性を強調しつつ、シミュレーターやコンピュータを活用した教育に取り組んだ。

平成28年からは、森川の後任として、本学解剖学講座の准教授であった相見良成が第3代目の教授に着任した。相見は本学医学科の5期生であり、外科研修の後に本学解剖学第2講座(現、解剖学講座・神経形態学部門)で博士号を取得し、その後は分子神経生物学研究センター、解剖学第1、第2講座で神経解剖学の研究と肉眼解剖学、組織学の教育に従事した。相見はこれまで、様々な器具を用いた教材や動画教材の新規開発に取り組み、よりわかりやすい講義・演習を行うことに注力してきた。またカリキュラム改定時には、「フィジカルアセスメント」の内容の見直しを行って同講座の基礎看護領域との共同担当に改め、さらに解剖生理学の配当時期を見直し、1年後期に配当していた「人体の構造と生理機能」を1年前期の「解剖生理学1」と1年後期の「解剖生理学2」に分け、より教育効果の高い他科目との繋がりを構築した。

解剖生理学はそれ自身が重要な学修領域であるのみならず、看護学の学修において、他のすべての教科の基盤でもある。これからも『質の高い教育』を行うことを当領域のモットーとして進んで行きたい。

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