Congratulatory Message

お祝いのメッセージ

滋賀医科大学の卒業生や関係各所から50周年を迎えお祝いメッセージをいただいております。

滋賀医科大学 名誉教授

高橋 三郎

画像:高橋 三郎

滋賀医科大学を定年退職してはや28年になる。義叔父の開設した埼玉県熊谷市の精神科病院院長として日本の診療現場の一端を担い、一臨床医としても地道な診療を続けてきた。毎年、精神医学系統講義1コマを担当して滋賀医科大学の発展の有様をみてきた。専門の精神科では、疾患に対する偏見が改善し、今日の外来患者の大多数が軽症の不安障害や適応反応症という時代になった。

1974の本学開学時、守山の仮校舎で教授予定者として初めての会議に出席した後、まだ整地中で何の建物もなかった瀬田の予定地に案内されたときの寂しさも今となっては幻である。かつて1887年全国を5つの学区に分けそれぞれに高等中学校(大学予備門)を建設したとき、母校の〔旧制〕第四高等学校も校舎完成まで3年がかりで第1期生は師範学校などの仮校舎で授業を受けたという話である。それが日本のやり方かと驚かなかった。

1978年から精神医学講座を担当するにあたり、新しい大学には新しい基本をと思い、丁度APA(アメリカ精神医学会)が1980年に発行したDSM-IIIを導入した。これは精神疾患の診断学の革命ともいえるもので、蓄積された科学的データを統計学的に分析し数値化して再構成する診断システムである。この方向は、我が国の精神医学会にも少しずつ浸透してきており、2013年のDSM-5マニュアル発行時には、日本精神神経学会でも「精神科病名検討連絡会」が設置されてガイドラインも作成されるようになり、今日、DSMは精神疾患の国際診断基準となっている。2022年には9年ぶりにアップデートされて「DSM-5-TR精神疾患の診断・統計マニュアル」となって、今年のお正月にはその監訳で大変忙しい思いをし、その訳著が医学書院より2023年6月に出版されたばかりである。40年余に渡り、この仕事に取り組んできた私にとっても喜ばしい変化である。

私の在任中精神医学を専攻したものの中から、地元の滋賀県では、県立精神医療センター病院長に大井健(3期生、1983)、県立精神保健福祉センター所長に辻本哲士(大学院1991)、滋賀医科大学精神医学講座教授に尾関祐二(13期生、1993)、同准教授に藤井久彌子(14期生、1994)などが地元での精神医療を守っている。精神医学講座からは山田尚登(2期生、元滋賀医科大学精神医学講座教授、副学長〕、下田和孝(3期生、元獨協医科大学精神神経医学講座主任教授、現栃木県立岡本台病院院長〕、塩入俊樹(7期生、現岐阜大学精神病理学分野教授)、加藤忠史(東大1988,現順天堂大学精神・行動科学主任教授)が現在ご活躍中である。この他、元准教授髙橋清久(元国立精神神経センター総長)、元准教授加藤進昌(元東京大学・昭和大学精神医学教授〕、元講師染矢俊幸(現新潟大学医学部長、精神医学講座教授)等がご活躍中である。それぞれの絶え間ないご努力のたまものである。

湖都通信が郵便で届くたびに滋賀医科大学の素晴らしい発展ぶりが目に見える。どうか何時までも「大空に、高く泳ぐは湖医のぼり」であってほしい。

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