臨床医学講座
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2019年4月1日に鈴木義久先生を特任教授に迎え形成外科学講座が開設された。2022年3月末の鈴木義久特任教授の退職後、2022年4月からは後任として荒田順特任准教授を迎え現在に至っている。荒田特任准教授の専門であるマイクロサージャリーによる再建外科や先天異常疾患に対する臨床と研究が加わり、より幅広い知識を持った形成外科医を育成できる講座となった。滋賀県内の連携施設として長浜赤十字病院と滋賀県立総合病院があるが、両病院に1名ずつの専攻医を派遣することができた。これからもしっかりとした指導を行い、専攻医の獲得に努め、さらに滋賀県内の施設に形成外科医を派遣し、滋賀県在住の方々に高度な医療を安全に提供できるよう精進し、地域医療と専攻医教育両方に貢献したい。
形成外科の診療の3本柱は外傷、腫瘍、先天異常である。頭頚部癌、乳癌を中心とした癌切除後のマイクロサージャリーを用いた高度な再建や先天異常、眼瞼形成を中心に診療を行っているが、大学病院としては珍しく、顔面・手外傷などの救急診療が多く、対応できるスタッフは少ないができる限り救急診療に応需する体制をとっている。今後の高度救命救急センターの稼働に向けて対応できるスタッフ数の増員が急務となっている。
創傷治癒に関する研究と形成外科診療で近年症例が増加している乳癌術後の乳房再建に関連した研究を行っている。現在行われている人工物や自家組織での乳房再建には、人工物埋植による合併症、大きな手術侵襲といった問題点があるため、新たな乳房再建方法として吸収性材料を埋植するのみで再建可能とならないか検討を行っている。また、脂肪移植も乳房再建の新たな方法として、注目されていることから、脂肪移植を用いた検討も行っている。
大学では医学生、初期研修医および後期研修医や専攻医の指導が責務である。医学生にとってはなじみのない形成外科学について、形成外科とは何かという初歩的なことを教えるところから開始し、その後、実際の臨床および研究に触れる機会を積極的に作っている。初期研修医には、医師として必須の手技である縫合法について教育を行い習得してもらえるよう指導している。形成外科学講座に入ってくれた専攻医には、形成外科専門医を目指して、基礎から応用まで丁寧な教育を心がけている。これまでに6名の医師が入り、現在、2名が専門医を取得した。
開設後の歴史が浅く、まだまだ駆け出しではあるが、開学50周年を一つの節目とし、大学内をはじめ関連病院との連携をしっかり取り、魅力ある診療科を目指し、さらに大きな講座になれるようスタッフ一同鋭意努力する次第である。
SHIGA UNIVERSITY OF MEDICAL SCIENCE 50th Anniversary