看護学科
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看護学科
看護学科
1994年の看護学科開設時に筒井裕子教授が着任されて以降、大町弥生教授、太田節子教授、畑野相子教授が本学の老年看護学領域をリードされてきた。2017年4月より領域長として荻田美穂子が着任し、現在に至る。日本の高齢化率は28%を超え、老年期の人々を対象とした看護の質を向上させることの重要性が増している。2014年には日本老年医学会が虚弱を意味する言葉である“Frailty”をカタカナ読みで「フレイル」と提唱した。このフレイルは介護状態へ移行する前段階として位置付けられており、2020年には後期高齢者へのフレイル健診も開始され、広く知られるようになった。我々の教室においても、フレイルの概念や予防方法を積極的に学部学生に教授するとともに、その予防のため研究に力を入れている。代表的な研究として、2013年に兵庫県香美町で立ち上げた高齢者コホート研究(Kami-study)がある。健常な高齢者がその後どのような経過を辿るのかを追跡しており、10年目の節目となった2023年には生活実態を把握するための悉皆調査を実施することができた。今後は、高齢者がどういったプロセスでフレイル状態や要介護状態に移行していくのかを解明していく予定である。本研究以外にも認知症や筋萎縮性側索硬化症、糖尿病患者を対象とした病院ベースでのコホート調査を教室内外の多くの方々の協力を得て実施している。これら取り組みは、フレイルハイリスク集団に対する質の高い療養支援に繋げていけるものと考えている。
大学院教育においては、2017年からの7年間に7名の修士課程修了生を輩出し、現在4名の大学院生が研究活動に取り組んでいる。そのうち3名は本学看護学科卒業ののち、直接修士課程に進学した者や数年の臨床経験を経て大学院に戻ってきた者になる。本学部卒業生から老年看護学分野の研究に関心を持ち、研究者として共に研究する仲間が増えていることは大きな喜びである。当教室修了生の多くが、修了後も引き続き共同研究を行っており、在学中の大学院生も刺激を受けることで研究が促進され、好循環を生んでいる。活力のある大学院生や熱心な教室員に支えられ、また教室外の先生方には日頃より多くのご指導を賜り感謝の念に堪えない。
「人間は動かなければ動けなくなる、動けなくなってからでは遅いので予防が大切、したがって入院しても寝かせきりにさせないということを大事にし、札幌麻生脳神経外科病院の取り組みをモデルにした」と初代教授の筒井先生の教育への想いが40周年記念誌に記されていた。これまで受け継がれてきた精神を大事にしながら、超高齢社会に対応できる看護師及び研究者の育成に今後も努力していく。
SHIGA UNIVERSITY OF MEDICAL SCIENCE 50th Anniversary