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感染制御部

医療関連感染は病院におけるすべての診療科・組織に関係するため、病院全体としての医療関連感染対策の組織化が必要であると考えられ、2002年4月に感染対策チーム(ICT)が設置された。しかし、現代の病院にとって、感染予防・感染制御がますます重要な事項になってきたことに伴い、病院における院内感染予防対策に関する業務を円滑に遂行することを目的として、2008年6月1日に感染制御部が設立された。

感染制御部の設立にあたり、感染制御部は感染制御を行うにあたっての方針決定組織であり、一方、ICTは実際に感染制御を担う実行組織としての役割分担がなされた。もちろん、この2つの組織は互いに協力し合って本院の感染予防・感染制御にあたっている。

感染制御部は、医師、看護師、検査技師、薬剤師、事務部門など多職種からなる組織である。日常業務としては、病院で検出される細菌(特に耐性菌)検出状況の把握及びその対策、抗菌薬(特に抗MRSA薬剤やカルバペネム系抗生剤)の処方動向の把握、抗菌薬の不適切な使用や長期間の投与による薬剤耐性菌の発生や蔓延を防止する活動(Antimicrobial Stewardship Team:AST)、針刺しなどの予防に関する事項、院内感染予防のためのマニュアルの作成および教育活動、実際に各部署を視察し提言を行う院内ラウンド、結核など感染性疾患発生時の対応など行っている。また、職員の感染既往歴と抗体価検査に基づくB型肝炎・麻疹・風疹・水痘・ムンプス予防注射の実施、全職員に対するインフルエンザワクチンの実施も行っている。また、本院における感染率の把握のため、各種サーベイランスも行っている。さらには、血液培養で細菌が検出された全症例に関しての介入や難治性感染症や抗生剤の使用法に関してのコンサルティングなども行っている。また、近年では、地域の感染制御の中核病院として、地域内の他の医療機関などとの定期的なカンファレンスや新興感染症の発生等を想定した訓練の実施なども行っている。

特殊な事例への対応としては、ノロウイルスの集団感染、インフルエンザのアウトブレーク、新型インフルエンザ対策、職員の結核発症にともなう大規模な接触者検診、新型コロナウイルス対応などを行ってきた。その中でも、2019年よりCOVID-19(新型コロナウイルス)感染症に対しては、3年以上にわたり病院の感染対策本部としての役割を果たした。不明な点が多々ある中での情報収集に始まり、方針の決定、マニュアルの作成、PCR検査、ワクチン接種、クラスター対策など組織全体の方針決定のみならず、実際の患者さんの受け入れや治療にも中心となって関わっていた。この間、急激な仕事量の増大により感染制御部は人員不足となり、人員の補強、各診療科よりの出向など、さまざまなかたちで病院全体よりサポートをいただいた。

今後も新興・再興感染症に限らず、病院における感染予防・感染制御の要としての役割をしっかりと果たしていきたい。

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