Congratulatory Message

お祝いのメッセージ

滋賀医科大学の卒業生や関係各所から50周年を迎えお祝いメッセージをいただいております。

滋賀医科大学 名誉教授

工藤 基

マクロ解剖の系譜

私は滋賀医大を2015年に退職し、現在は大津赤十字看護専門学校他で、非常勤講師をしております。岡山大学を卒業した後、熊本大学、京都大学、フロリダ州立大学、金沢大学、と任地を転々としながら、神経解剖学の道を歩んでまいりました。本稿ではマクロ解剖に関することに絞って一筆啓上します。

マクロ解剖、とりわけ人体解剖実習は医学教育のハイライトであります。篤志献体団体(しゃくなげ会)が「ご遺体こそは尊き師なり」の精神を守って、滋賀医大の解剖教育を支えていただいていることに感謝します。多くの医学生がこの精神に感銘を受けながら解剖実習に取り組み、育っていったことと思います。

谷徹(消化器外科)と浅井徹(心臓血管外科)の両教授が、滋賀医大が誇る偉大な外科医であることは、よくご存知のことと思います。お二人は金沢大学の出身で、学生時代に山田致知教授からマクロ解剖を学んでおられます。谷徹先生は「あの時の体験が外科医として人体構造を理解する基になっている」と述べられていました。

私が受けたマクロ教育を少し述べさせてください。岡山大学の大内弘教授がその人でした。当時、医学部専門課程はたっぷり4年間あって専門課程1学年の午後は解剖実習に明け暮れたものです。頚部の解剖スケッチを描き、頚神経叢を剖出できた様をよく覚えています。同級生の畏友、大谷修先生(富山大学名誉教授)はマクロ解剖の達人で、大内弘教授の直弟子です。大谷修先生のおかげで、マクロ関係の共著を2つほど出すことができました。

滋賀医大在任中、最後のお弟子さんに、本間智君(現在金沢医科大学教授)と巡り会えたのは幸運でした。彼のおかげで、マクロ解剖の目が開かれました。本間智君は、山田致知先生の孫弟子にあたります。つまり、新潟大学の熊木克治教授に学生時代に教育をうけ、熊本大学の児玉公道教授のもとでマクロ解剖の研鑽を積まれました。私は素人であるにも関わらず、マクロ関係の論文を本間智先生との共著で、いくつか著すことができました。

「解剖見学」は地域への貢献として、医科大学の解剖教室ができる大きな使命だと思えるようになりました。私は微力ながら、滋賀県下の専門学校生にも本物の人体で解剖学を学んでほしいと願い、これを制度化しました。今は全国的に行われているようです。私も現在、非常勤講師として、メディカルスタッフ学生に解剖生理学を教える上で、マクロ解剖学の重要性を感じています。

写真は、2013年リスボンで開かれたヨーロッパ臨床解剖学会で、本間智先生の研究成果を発表した著者です。

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