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基礎医学講座

解剖学講座(生体機能形態学)

解剖学講座生体機能形態学部門(旧解剖学第一講座)は、前田敏博教授の下、1975年に開講した。2000年には新井良八教授が二代目教授として就任し、2011年からは宇田川潤が後任となった。その間、2008年には藤宮峯子助教授が札幌医科大学の教授に、また、2010年には安原治准教授が滋賀県立大学教授に栄転した。

初代の前田教授、二代目の新井教授は共に脳内モノアミン系を中心に研究を発展させ、数々の成果を上げてきた。三代目の宇田川からは発生学の観点を取り入れ、胎生期や生後早期の環境が非感染性疾患のリスクに関与するという“DOHaD(Developmental Origins of Health and Disease)”研究に焦点が移ってきた。2013年に着任した木村智子助手(現京都橘大学准教授)は胎生初期の低栄養が脛骨の伸長制限を招くメカニズムを、2017年に着任した内村康寛助教(現准教授)は胎生初期低栄養により生後に発現が変化するSLC22a23遺伝子の機能を明らかにしてきている。2023年からは久保佳範助教がメンバーに加わり、妊婦の栄養を中心にDOHaDの臨床研究を精力的に進めている。また、小児科や産婦人科医師も本部門でDOHaD研究を進め、成果を発表してきた。一方、海外との共同研究では、Chalmers University of Technologyと霊長類の手の把握機能の解析を進め、大学院生が本研究で学位を取得した。

本研究室では学部学生も主研究者の一人として活躍している。本学皮膚科の杉浦周嗣助教は、医学部在学中にアトピー性皮膚炎の発症メカニズムに関する論文を一流誌に発表した。また、金子隼也は胎生初期低栄養が子ラットに多動を生じさせることを示し、その後、大学院生の日野広大が脳内リン脂質と行動変化との関連を明らかにした。学部学生の菊池修平らはさらに本研究を発展させ、不安や社会行動に対するリン脂質の機能を明らかにした。

ところで、本学の解剖学教育は、学問の発展や臨床医学の進歩と共に、基礎的知識から臨床医学へとシームレスにつなぐ内容に変貌してきた。臨床科教員の協力を得て臨床的な視点からも解剖学を大いに学べるようになり、学生の医学を学ぶ意欲はさらに高まりつつある。近年、特に変化を遂げたのは、解剖教育が学生のみならず現役医師の生涯教育として発展してきたことである。しゃくなげ会の皆様のご支援をいただき、2022年からは医師の外科手術手技向上研修が始まった。一方で解剖学教育には50年間大切に受け継がれてきたものがある。献体受入式や比叡山での解剖体慰霊法要への学生の参列は、本学独自のプロフェッショナリズム教育として位置づけられている。長年、柏原市朗・木村隆宏技術職員らがこれらの教育活動を支えてきたが、近年は解剖センター特定業務職員も本活動を支えている。本部門が携わる医学教育と研究は、学内外の多くの方々のご支援の下、発展してきた。皆様には心から感謝申し上げたい。

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