Cross Talk 開学50周年記念対談
滋賀医科大学の「過去×現在×未来」

#03

大学・学生・地域が 「三方よし」でともに 発展していく仕組みづくりを 

地域医療教育研究拠点病院 院長座談会

前編 真面目で熱心な滋賀医大の学生たち

2023/10/31 release

独立行政法人国立病院機構 東近江総合医療センター院長

野﨑 和彦 NOZAKI Kazuhiko

1983年京都大学医学部卒業。米マサチューセッツ総合病院脳神経外科、京都大学医学部脳神経外科准教授などを経て、2008年滋賀医科大学脳神経外科学講座教授。2023年4月より現職。

独立行政法人地域医療機能推進機構 JCHO滋賀病院院長

来見 良誠 KURUMI Yoshimasa

1981年滋賀医科大学医学部卒業。米ピッツバーグ大学、滋賀医科大学外科学講座准教授を経て、2011年同大学総合外科学講座教授。2015年4月より現職。2019年4月から2020年10月まで滋賀医科大学理事(地域医療担当)を兼務。

地方独立行政法人 公立甲賀病院院長

辻川 知之 TSUJIKAWA Tomoyuki

1986年滋賀医科大学医学部卒業。米テキサス大学、滋賀医科大学消化器内科講師を経て、2011年同大学総合内科学講座教授。2020年4月より現職。2020年11月から滋賀医科大学理事(地域医療担当)を兼務。

滋賀医科大学では、県内の3つの病院内に「地域医療教育研究拠点」を設置しています。これは地域における医療活動を通して、地域医療を担う医師の養成と確保に関する研究を行うと同時に、地域医療を組織的に確立することを目的としており、医学科学生の臨床実習を中心に連携を行っています。今回はその拠点病院となっている3病院の院長にお集まりいただき、意見交換とこれからの展望について語っていただきました。

Chapter.01
真面目で熱心な滋賀医大の学生たち

 

来見
私が滋賀医大に入学した当時、瀬田キャンパスは完成しておらず、守山に仮の校舎があり、2年生の9月から瀬田に移りました。 そのときはまだ管理棟と図書館、教養棟だけしかなく、学年が一つ上がるごとに建物が増えていったという感じでした。
先輩が誰もいませんから非常にのびのびとした学生生活でしたが、一方でこれからどういった大学になるんだろう、という不安もあり、それぞれが模索しながら学生生活を送っていたように思います。
辻川
私は滋賀医大の6期生ですので、入学したときにやっと6学年すべてがそろい、大学らしいかたちが整いました。
6年間どっぷりと野球に浸かった学生生活で、単位をとるのも先輩から情報を集めて、なんとか学年を上っていったという感じでした。
来見
施設や実験器具は最新のものが用意されていて、それを自由に使える環境だったのは恵まれていましたね。

画像:守山仮校舎/図書館(開館時)/講義風景

 

 

 

 

辻川
当時はまだ看護学科がなく、医学部全学年を集めても600人しかいないため、こじんまりとしたアットホームな雰囲気でしたね。
教えていただく先生方も、もちろん滋賀医大出身の方はおられませんから、それぞれ出身大学の特徴をお持ちで、ユニークな先生が多かったように思います。
ご自身の思いや研究について学生が興味をもつよういろんな話をしてくださったことを思い出します。
野崎
私は他大学出身で16年前から滋賀医大で授業を担当させていただくようになりました。最初は学生の出席率が高くて驚きましたね。
授業ではとにかく想像力をかき立てて、興味をもってもらえるよう、教科書に書いてあるようなことはあまりしゃべらないという方針でやっていたのですが、この10年で教育制度が厳しくなり、カリキュラムに則った授業をしなくてはいけなくなりました。
画一的になりがちな点は非常に残念ですが、滋賀医大の学生は真面目で、ある程度以上の能力を備えていますので、そのなかで将来的に個性をもった方が育ってくれることを期待しています。
画像:上本先生

 

 

 

 

「地域医療マインド」をもった人を育てることと、それが自然に備わるような仕組みづくりが大切。

 

 

Chapter.02
滋賀の地域医療にいま求められるもの

 

 

来見
滋賀医大では地域医療教育研究拠点の設置に先駆けて、2010年に「滋賀県地域医療再生計画」に基づいて寄附講座「総合内科学講座」「総合外科学講座」を当時のNHO滋賀病院(現東近江総合医療センター)に設置しており、私はその翌年に教授と兼務で副院長に就任しました。
4年後にJCHO滋賀病院の院長として赴任したのですが、東近江では自己完結型の医療が求められるのに比べ、大津市にある滋賀病院では周囲にさまざまな医療機関が多数あるため、そのなかで不足している部分を機能面、容量面で補完する役割が求められます。
滋賀県の地域医療がなかなか充実しない根底には人材確保が大きな課題になっており、学生実習を受け入れる仕組みをはじめ、とくに地域医療に求められる総合力を高める仕組みづくりを行ってきました。
単に人材の数を増やすのではなく、「地域医療マインド」をもった人を育てることと、それが自然に備わるような仕組みづくりが大切だという思いで取り組んでいます。
画像:来見先生

 

 

 

 

 

野崎
日本では近年、専門医制度が厳しくなっていますが、根本的に日本の医療制度がみなさんの税金を使った皆保険で成り立っている以上、いつでもどこでも誰でもアクセスできる近くの病院があるという体制のもとに医療は成り立っている必要があります。つまり「地域医療」は特別にとりたてて言うまでもなく必要なものです。
このたびの新型コロナウイルス感染症の流行でも、医療機関が専門性に走ったためにベーシックな疾患に対応できない現状が浮き彫りになりました。ここに地域医療の原点があるのではないでしょうか。
今後、高齢者医療が圧倒的に増えるなかで本当に必要な医療は何かという点に立ち返り、来見先生がおっしゃったように地域での補完性を維持しながら医療体制を考えていくべきだと思います。

 

 

 

 

辻川
いちばんわかりやすいのは住民の方から見た視点です。地域の医療ニーズに最寄りの病院がどれだけ応えられるかが、地域医療の根幹じゃないかと考えます。
甲賀・湖南地域における基幹病院としては、総合病院は公立甲賀病院しかなく、我々はコモンディジーズ(よくある疾患)に対してどこまで地域内で完結できるかということに主眼を置いてきました。さらに地域のかかりつけの先生との「病診連携」をいかに充実させていくのか。
これが地域の住民の方にとって大切であり、地域医療を実践するうえで欠かせないと感じています。

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