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基礎医学講座

医療文化学講座(文化人類学)

沿革

文化人類学研究室(現員教授1名)は平成16年4月1日付けで兼重 努が助教授(当時)として赴任してきたことにより開設された。兼重は平成27年6月1日付けで教授に昇任し現在に至っている。

研究

兼重はこれまで文化人類学の観点から中国の少数民族の研究を続けてきた(対象時期は中華人民共和国期(1949年以降))。具体的にはトン族の建築文化(写真参照)を中心に、それに関連する風水思想、功徳の観念と積徳行等について論文を発表してきた。近年は研究対象を広げ、トン族の芸能、無形文化遺産ならびに中国における跨省民族(省を跨いで分布する民族)の研究も手掛けている。今後は対象時期を少し遡らせ、中華民国期(1912—1949年)に広げてゆく予定である。

教育

教育面においては、文化人類学、地域論を中心に、地域文化論、人間科学研究、アカデミック・スキル、日本語表現法・アカデミックライティング等も担当している。

文化人類学の授業においては、異文化の多様な思考様式・価値観や行動様式などについて様々な事例を(トン族の事例も含めて)提示しながら、異文化理解の方法論について講義している。

異文化の多様な思考・行動様式を尊重・理解しようとする姿勢ならびに異文化理解のスキルや方法論を習得することは、医療人にとっても非常に重要である。文化人類学においては、医療人と患者の関係をサブ・カルチャーの観点から異文化間関係として捉える。医療の専門家として訓練を受けた医療人は「医療文化」という(他の集団とは異なる)サブ・カルチャーに属している。その意味において患者と医療人の両者は(同じく日本文化の中で生まれ育っているとしても)、互いに「異なるサブ・カルチャー」に属している。その事実を互いに理解していないことこそが、両者の間にコミュニケーションの齟齬や不信感を生みだす主要因である、という指摘がある。

文化人類学には医療を主対象とした「医療人類学」という下位分野もある。文化人類学の素養を一人でも多くの学生に身につけてもらいたい−このように強く願いつつ、講義においてはサブ・カルチャーならびに医療人類学のトピックもできる限り盛り込んでいる。

「医学教育モデル・コア・カリキュラム」(平成28年度改訂版)において、日本の医学教育史上初めて、文化人類学(特に医療人類学)の項目が入った。本学において令和6年度より実施予定の新カリキュラムでは、文化人類学は医学科の【⾏動科学教育】の一年次の三本柱の一つとして位置づけなおされると聞いている。このような流れの中、今後はリベラルアーツ(一般教養科目)という大前提を踏襲しつつ、「医学教育モデル・コア・カリキュラム」の指針にも沿った形で授業を発展させていきたい。

最後に地域論について述べて筆をおきたい。地域論は滋賀県及び滋賀県民について学生主体で学ぶ能動学習形式の授業である。受講生各人が滋賀県及び滋賀県民に関してテーマ(問い)を設定し、文献調査やフィールドワークを行って問いの答えを導きだす。その上で受講生は最後の公開成果発表会でプレゼンテーションを行い、ご来聴の学生・教職員に向けて学習の成果を披露している。

 

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