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基礎医学講座

社会医学講座(衛生学)

社会医学講座・衛生学部門

昭和52年(1977年)4月に前身の予防医学講座が開設されて以降、当部門は、一貫して働く人たちの安全と健康をまもることを目的に社会医学研究・教育を行ってきた。「まずは現場を知ること・見ること」を重視し、疫学的手法による実態把握・因果関係の検討、実地/シミュレーションによる身体負担評価・環境評価に基づき人間工学的な対策を立案するという方法論は、ほぼ確立している。

渡部眞也教授(1977~1996年)及び西山勝夫教授(1996~2008年)の主宰期は、農業労働者を対象とした労働負担軽減及び農作業災害予防に関する研究、「労働と健康」を柱としたさまざまな産業分野のフィールド研究・疫学研究が多く実施された。垰田和史准教授(2008~2020年)の頃には、ヒューマンサービス労働者の作業関連性運動器障害予防に関する研究、及び障害者の二次障害予防に関する研究が活発に行われ、農村医学研究、全身振動の曝露評価と低減に関する研究もさらに発展した。近年は、理学療法士、看護師、介護福祉士、人間工学専門家といった多職種が連携し、それぞれの専門性を活かした研究を行っている。また、企業との共同研究、社会医学フィールド実習にて学生から提案されたアイデアに基づく実証研究と特許申請、研究結果の行政施策への反映といった成果も重ねている。2020年4月以降の学位研究テーマは、「HIV/AIDSの知識レベル、保健所の認識および関連要因:在日ブラジル人における横断的研究」「理学療法士の徒手的療法におけるベッド高の違いによる身体負担:実験的研究」「脊髄損傷者における心拍動起因の音響脈波を用いた要導尿時点推定システムの開発」「介護労働者の身体負担評価に関する研究」と様々な領域にわたる。

国際的な人的交流は、1981年に西山助手(当時)がスイス連邦立工科大学、1993年に西山助教授(当時)がJohns-Hopkins大学衛生・公衆衛生大学院、1998年に北原助手(当時)がスイス連邦立工科大学附属労働生理学研究所、1999年に垰田前准教授がスウェーデン王立労働生活研究所へそれぞれ留学、2012年には韓国の労働医学研究所所長・任祥赫氏を客員研究員として迎えた。

特筆すべきは、2019年12月、垰田前准教授が保健衛生分野の栄誉である第71回保健文化賞を受賞したことである(写真)。「過重な負担による手話通訳者の頸肩腕障害を発見し、長きにわたり相談・検診や追跡調査に邁進する傍ら、全国各地で講師活動を続け、手話通訳者の健康を守るルールを普及させ、手話通訳者の健康管理制度に貢献している」と示された受賞理由に、当部門が伝統的に行ってきた社会医学研究の意義を見出すことができる。

教育においては、公衆衛生学・社会医学フィールド実習(医4)の他、医学概論・早期体験学習(医・看1)、保健医療と社会(医6)、公衆衛生看護活動論(看3)などを担当し、研究との連携を重視している。大学運営面では、OSCEの実施、地域医療教育やカリキュラムの検討、入試実施、障害学生支援、里親学生支援などにおいて役割を担っている。

社会医学の研究と教育は、地域社会の中で、そこに暮らし、働く人々と連携することで、有効な社会貢献となる。今後も、これまでの歩みを礎にして、社会に根差し社会貢献に繋がる研究と教育を目指ざしていく。それには、我々スタッフの日々の研鑽と努力はもちろん、後進の育成・確保が急務である。

2023年度のスタッフ

  • 特任准教授 北原照代
  • 講師(学内)辻村裕次
  • 非常勤講師 垰田和史(びわこリハビリテーション専門職大学 教授)
  • 事務職員  森下玲子
  • 大学院生(医学研究科博士課程)3名(医師、看護師、介護福祉士 各1)
  • 研究生 3名(看護師1、理学療法士2)
  • 登録研究医コース 2名(医学科6年生、4年生 各1)

第71回保健文化賞贈呈式(受賞者 垰田和史・前准教授)

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