画像:訪問看護師の育成を担う「地域医療実践力育成コース」

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#02

教育

訪問看護師の育成を担う「地域医療実践力育成コース」

辻村 真由子 TSUJIMURA Mayuko

教授/公衆衛生看護学講座(訪問看護)

 滋賀医科大学の医学部看護学科における「訪問看護師コース」は、思考することや実践・評価する経験を重視し、プログラムを持続的に深化及び発展させてきました。2019年度入学生からは正規のカリキュラムに位置づけられ、新たに「地域医療実践力育成コース」となりました。
 2021年3月には、公衆衛生看護学講座「訪問看護学領域」の教授として、新たに辻村真由子教授が着任されました。辻村教授に、「地域医療実践力育成コース」の特徴や今後の展開などについて語っていただきました。

訪問看護を深く学ぶ先進的なコース

 訪問看護について学ぶコースを、正規のカリキュラムとして選択できるということは、かなり先進的であり、他校ではまだあまり例のないことです。全国的にみて特徴のある「地域医療実践力育成コース」を設置している滋賀医科大学で、新たな領域を創造していきたいと思っています。また、学部生のうちから、訪問看護を深く学ぶことのできる訪問看護学領域で、これまで研究してきたことを活かしたいと考えています。

 公衆衛生看護学講座の再編成にあたり、領域名を「在宅看護学」ではなく「訪問看護学」としたのは、自宅だけでなく、施設や学校、地域など看護が必要なところに訪問するというイメージからで、もちろん、市民や多職種と集い、健康づくりの場を共創する活動も含みます。

画像:地域での活躍の場

 私の専門分野である「訪問看護学」との出会いは、浜松医科大学医学部看護学科に入学する前にさかのぼります。訪問看護という活動があることを知り、ずっと関心を持っていました。浜松医科大学医学部看護学科を卒業し、地元の豊橋市民病院の整形外科・リウマチ科病棟での勤務を経て、千葉大学大学院看護学研究科に入学、訪問看護師として活動しながら、要介護高齢者とその家族に対する訪問看護師による排便ケアについて研究を行い、看護学の修士号、博士号を授与されました。

 大学院修了後は、千葉大学と千葉県立保健医療大学で教員として訪問看護学の教育研究に従事してきました。その間、フィンランド、アイルランド、韓国、タイなどの研究者と国際共同研究を行い、各国の文化に根付いたケアやシステムに感銘を受けるとともに、日本の訪問看護の特徴や優れた点を実感することができました。

 近年は、一人暮らし高齢者の包括支援ガイドの開発、新卒者を含む訪問看護師育成プログラムの開発、在宅介護ロボットの社会実装に関する学際的国際共同研究などに取り組んでいます。

 

卒後すぐ活躍するための知識をしっかり学ぶ

 千葉県看護協会が新卒者を対象とした訪問看護師育成プログラムを日本で初めてスタートした時に、教員の立場でプログラムの作成や育成に関わりました。訪問看護師の活躍の舞台となる訪問看護ステーションでは即戦力が求められますが、プログラムに則った教育を受けることで、新卒でも訪問看護師として活躍できると考えています。国も在宅看護を施策として推進していることから、新卒で活躍できる訪問看護師への期待も高まっています。

 ほとんどの学生は、卒業後は病院で看護師として働くことをイメージしていますが、入学時から訪問看護師を目指したい、いずれは訪問看護をやってみたいという学生も着実に増えてきています。本学の訪問看護師コースの修了生から新たに新卒訪問看護師が輩出されています。

画像:卒後すぐ活躍するための知識をしっかり学ぶ

 しかしながら、まず病院で勤務して実践的な技術を身につけてからでないと不安に思う学生がまだまだ多いのが現状です。病院で経験を積んだ看護師が、訪問看護の現場で病院とのギャップに戸惑うケースが少なくないことから、技術以上に訪問看護に対する正しい理解としっかりした考え方が大切だと考えます。訪問看護師は一人で訪問するから責任が重い、という声をよく耳にしますが、病院や施設で働いていても看護師の責任は同じと考えます。卒後すぐ訪問看護師として活動するのに必要な科目を在学中にしっかり履修することで、新卒でも不安を少なくして訪問看護師として活躍することができます。

 本学では、地域医療展開論で訪問看護ステーションの運営などについて学ぶほか、地域の医療資源の分析などにも取り組みます。地域医療展開論演習では草津市にある医療研修施設で、在宅環境での看護実践シミュレーションを行い、実習では退院支援部署や訪問看護ステーションでの臨地実習を行います。

 

自律的に学び自ら考える姿勢を大切に

 学生のみなさんに望むことは、自分で考えて自律的に学ぶということです。ルーティンで行っていることも「これでいいのか?」と疑問を持ってみることが、新たな研究テーマや新しい取り組みにつながります。そういう姿勢を身につけることが、将来訪問看護の現場で、自分で考え判断する時に役立つはずです。

 滋賀県は、介護保険制度施行前に旧水口町(現・甲賀市)で24時間在宅ケアシステムがモデル的に実施された歴史があり、在宅死の割合や65歳以上の訪問看護利用者割合が全国平均よりも高く、在宅医療・看護の基盤が強い地域であると感じています。

 今後は、滋賀の文化や地域性について学びつつ、訪問看護や地域医療を担う次世代の育成と、革新的な研究への挑戦などを通じて、本学の訪問看護学領域をアジア型訪問看護学の教育研究拠点とすることが私の夢です。
 県民のみなさんには、まず訪問看護を身近なものとして正しく知っていただけるよう、情報を発信していきたいと考えています。

画像:辻村先生

 

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