Departments講座等紹介

基礎医学講座

生化学・分子生物学講座(分子生理化学)

(2023年11月)前列左より、近藤健太(助教)、縣 保年(教授)、寺田晃士(准教授)、後列左より、Md Abdul Jabbar Khan、Dil Afroza、新田信人、口分田美奈(大学院生)、佐野友亮(特任助教)

当講座は昭和50年4月に生化学第一講座として開講し、法人化に伴い、生化学・分子生物学講座 分子生理化学部門と名称変更した。この間、教授として初代 野崎光洋(昭和50年〜平成5年)、第2代 堀池喜八郎(平成7年〜平成25年)、第3代 縣 保年(平成25年〜現在)が着任し、引き継いでいる。研究スタッフは、准教授(助教授)として堀池喜八郎(昭和54年〜平成7年)、石田哲夫(平成7年〜平成26年)、寺田晃士(平成26年〜現在)が、助教(助手)として中井智恵子(平成7年〜平成14年)、田中裕之(平成9年〜令和3年)、山本篤(平成16年〜平成25年)、我妻慶祐(平成25年〜平成29年)、近藤健太(令和3年〜現在)が、特任助教として富松航佑(平成30年〜令和2年)、近藤遼平(平成31年〜令和元年)、近藤健太(令和元年〜令和3年)、前田菜摘(令和4年〜令和5年)、佐野友亮(令和5年〜現在)らが務めた。この間、臨床講座からの大学院生や学外からの研究生を多数、また海外からの留学生も受け入れてきた。

平成7年から平成25年の期間における主な研究テーマは、「酵素タンパク質の機能発現の原理と本質の解明」である。酸素添加酵素やフラビン酵素などを用いて酸素分子のマクロな(熱力学的な)レベル、およびその発現を支える電子・原子のミクロな実体の研究を行った。

カテコール2, 3-ジオキシゲナーゼ(酸素添加酵素のひとつ)の触媒により、カテコールの芳香環にO2の2個の酸素原子が挿入され、C2-C3炭素間で開裂する。この酵素を扱った研究成果としては、反応動力学的解析やX線結晶構造解析にとどまらない。本酵素を用いて、環境中の溶存酸素濃度を簡単に絶対測定する技術を開発し実用化した。

また、D-アスパラギン酸酸化酵素(フラビン酵素のひとつ)を用いて、嫌気下での分光滴定やストップトフロー装置での測定により、本酵素の基質活性化が還元型酵素-基質複合体と酸素との反応速度が速いことによることを示し、フラビン依存性酸化酵素の反応動力学を取り扱う統一的な理論を提示した。

他にも、当時は機能が未知であったD-アミノ酸代謝酵素の研究も行った。その探索を通じて、ニワトリ腎臓からD-セリン脱水酵素の精製やcDNAクローニングに成功した。さらにX線結晶構造解析や酵素学的解析により、活性中心にある亜鉛イオンが、PLP(活性型ビタミンB6)に結合したD-セリンの水酸基と直接相互作用できることを示した。

縣 保年が着任してからの研究内容は、T細胞受容体(TCR)遺伝子再構成のエピジェネティックな制御機構や、京都大学医生物学研究所の河本 宏先生との共同研究として、がん抗原特異的なTCR遺伝子を導入したiPS細胞から、がんを殺傷できるT細胞を再生する研究を開始した。さらにゲノム編集とカセット交換法を用いてTCR遺伝子を効率よく導入する方法の開発に成功した。

他にも、カニクイザルの腫瘍細胞を、MHCが一致したサルに移植するがん移植モデルを用いた研究を、疾患制御病態学講座と生物学講座との共同研究として行い、腫瘍に浸潤したT細胞から腫瘍細胞を殺傷できるTCR遺伝子を同定することに成功した。また動物生命科学研究センターとの共同研究として、最新の遺伝子改変技術を用いてがんモデルサルの作出も進めている。このように本学では講座間の垣根が低く、緊密な共同研究体制を迅速に構築できるメリットを享受している。この場をお借りして感謝を申し上げるとともに、今後もご支援いただいている先生方と研究を益々発展させていきたい。

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