Departments講座等紹介

基礎医学講座

病理学講座(人体病理学)

当部門(旧病理学第一講座)は、1974年に竹岡成先生が初代教授として着任し、芦原司助教授とともに開講された。1988年に服部隆則教授が福井医科大学から赴任され、自由な雰囲気のもとで、主として上部消化管腫瘍の発生・進展機構に関する研究を行ってきた。2009年に杉原洋行准教授が教授に昇任された。研究に軸足をおきながら、堅実な診断もできる、バランスのとれた病理医の育成をめざし、海外や臨床からも含め、若い大学院生がいてくれたことで、教室の研究のactivityが維持されてきた。

近年の人事面

近年の人事面では、2013年に服部副学長が、2020年には杉原教授がそれぞれ退職された。杉原教授の後任として、竹岡教授時代に旧病理学第一講座に入局され、服部教授の指導で学位を取得された臨床検査医学講座教授の九嶋亮治先生を両講座の教授を併任される形で迎え入れた。2020年11月に向所賢一准教授が医学・看護学教育センター教授に栄転され、その後2021年に仲山貴永准教授を選任、能島舞助教を採用した。

研究活動

研究活動としては、竹岡教授はマスト細胞の形態学的研究をされていた。服部教授の下で、「胃型腺癌」の概念が確立され、また、ヒトの残胃癌やBarrett食道の発生における胆汁を含む十二指腸液逆流の重要性、Barrett腺癌やcolitic cancer等の慢性炎症に伴う消化器癌の発生が粘膜修復時の化生に関連していること等が、ラット十二指腸液逆流モデルや人体材料によって明らかにされた。これらの研究は、ドイツ、英国、米国の研究室との共同研究も含んでいる。また、杉原教授の下で、未分化型胃癌の細胞間結合、間質との相互作用の研究、胃癌や食道癌などのゲノムDNAの変化を使った系譜解析、およびこの系譜解析による胃癌、乳癌、大腸癌の進展リスク評価の実用化に向けた研究が進められた。さらに、三次元培養とメタボローム解析を組み合わせ、より生体内に近い環境での培養が可能となった。2023年には九嶋教授が「胃粘膜の細胞分化と組織発⽣論に基づいた胃炎と胃腫瘍の病理診断学」の演題で日本病理学会の病理診断学賞を受賞された。

教育活動

教育活動としては、学部教育では、病態発生学、腫瘍学の一部、系統別臨床講義の一部、看護学科の授業の一部を担当している。大学院教育では、ほぼ切れ目なく(海外や臨床からも含め)大学院生を受け入れてきた。中国、モンゴル、セルビア、ベラルーシ、ベトナムなど8カ国から多くの研究者を受け入れ、外国人大学院修了者は12名に及ぶ。

病理診断面

病理診断面については、病理専門医を滋賀県内外の医療の第一線に送り出している。若手病理医の卒後教育として病理診断科所属の病理専攻医への指導を主に病理解剖を通して実施しており、新臨床研修制度発足以降、新たに8名の病理専門医取得に貢献してきた。また、この30年間、受託研究として年間2~3万件の病理組織診断を行い、病理診断部門を持たない病院や開業医からの検体の診断に貢献するとともに、安定した研究費の確保を可能にしてきた。

今後も研究を主として、教育・診断にもバランスのとれた人材を育成することを目標に、学生の出入りの絶えない教室でありたいと考えている。

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