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臨床医学講座

放射線医学講座

放射線医学講座は1977(昭和52)年4月、山崎武初代教授(-1989(平成元)年3月)、 藪本榮三初代助教授のもとで開講し、1978(昭和53)年10月に医学部附属病院が開院、放射線科診療を開始した折に、坂本力初代放射線部助教授が加わり初期の診療体制が整った。開院時、後に第3代教授に就く村田喜代史助手が着任し、1983(昭和58)年6月には本学卒業生として最初の3名の医師(3期生)が加わった。

開院当初から、放射線部内で施行されるすべての診療に対し、その適応、適正な方法での実施、放射線被曝管理、検査結果の報告について放射線科医が積極的に関与する方針を掲げ、先進的で今日的な放射線診療のスタンダードを実践していた。部内で発生したフィルムはすべて部で集中管理し、患者の入院中と外来受診日に当該診療科へ貸出す以外は放射線部に保管、必要な場合は手続きを経れば閲覧可能であった。検査記録・報告書は、診療録に保管する正本以外に、検査別、患者別に部内で保管する写しを作成していた。これらは検査種別に冊子として管理されるとともに、患者ごとに当該患者の検査記録・報告書のすべてが時系列で揃った「中放カルテ」と呼ばれる綴りを作成、IDで管理され、検査報告書を作成する際に利用された。これはそのまま今日のデジタル化されたPACSシステムと所見作成システムに継承されている。専門医制度が整った現在では当然ではあるが、開院当初から、本人の将来の方向が治療医、診断医の選択にかかわらず、原則として最初の2 – 3年程度で全員が放射線治療と診断の両者をトレーニングするという方針であった。

放射線科医が関与する治療行為として、国立大学としては初めて導入された20MeVリニアック治療装置を擁した放射線治療はもちろん、まだ広くは行われていなかった診断的手段を利用した治療であるインターベンショナルラジオロジー(interventional radiology : IVR)を当初から積極的に行っていた。これらの治療は正確な画像診断の上に成り立つという考え方で、将来の方向にかかわらず初期教育では画像診断のトレーニングは十分に行う方針であった。この方針はそのまま継承されているが、今日の専門医制度の研修体制とよく適合しており、開院当初から時代を先取りした放射線診療と放射線科医育成がなされていたといえる。

森田陸司第2代教授(1989(平成元)年5月-1999(平成11)年3月)は、臓器別のグループを構築し専門領域ごとの診療、研究の充実をはかり、診療科としての基盤の強化をすすめるとともに、当時、新たに始まった骨粗鬆症診療に不可欠な評価手段である二重X線吸収法(DXA)を用いた骨粗鬆症検査法の社会実装に大きく貢献した。また、1985(昭和63)年放射線部講師として着任した村田喜代史第3代教授(1999(平成11)年10月-2019(平成31)年3月)は、肺疾患のCT診断方法の研究をすすめながら、放射線診療研究の最高峰である北米放射線学会での発表や国際学術雑誌への投稿を通して世界標準レベルの放射線科医の育成に努めた結果、地域病院の放射線科常勤医も増加し地域の放射線診療の充実につながっている。この間、2001(平成13)年4月(-2008(平成20 )年3月)には、森田陸司第2代教授が第5代病院長として着任、附属病院の財務状況の改善、病院機能の向上をはかり、日本病院機能評価認定を獲得したのに加え、2012(平成24)年に完成する病院再開発事業を開始した。

放射線医学では2016年頃から人工知能の診療への応用が開始され、2023年の時点で診断支援や画像再構成など多くの技術が研究・開発され、実臨床で用いられている。2019(令和元)年9月に着任した渡邉嘉之第4代教授は、これらの人工知能技術にいち早く注目し、企業と協力して開発を行うことや、近隣大学と共同で研究を進めている。加えて、実験実習支援センターに設置されているMR装置や透視装置を用いた基礎的研究も積極的に進め、開学50周年を迎えて、拡大する放射線診療への対応、放射線医学研究を精力的に推し進めている。

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