画像:『経腸栄養作業を楽にするシリンジノズル』が第7回滋賀テックプラングランプリで特別賞を受賞

Present of the University滋賀医科大学の今

#08

研究

『経腸栄養作業を楽にするシリンジノズル』が第7回滋賀テックプラングランプリで特別賞を受賞

石山 博章 ISHIYAMA Hiroaki

医学科6年生

 2022年7月9日、びわ湖大津プリンスホテルで開かれた『第7回滋賀テックプラングランプリ』最終選考会で、石山さんらのチーム『医療現場の苦労を減らし隊』が、特別賞(タカラバイオ賞)を受賞しました。
 『滋賀テックプラングランプリ』は、「滋賀発成長産業発掘・育成コンソーシアム」が運営する研究開発型創業支援プログラム「滋賀テックプランター」の支援成果発表の場で、次世代技術や情熱をもって滋賀県から世界を変えようとするチームを発掘・育成することを目的に開催されています。

 

介護スタッフの負担を軽減する“胃ろう”のためのデバイスを開発

 『社会医学フィールド実習』の授業でびわこ学園医療福祉センターを見学した際、胃ろうへのシリンジ注入作業が、介護スタッフにとってかなりの負担となっていることを知りました。胃ろうとは、口から食事をすることが困難な方などが手術によって腹部に小さな穴を開け、専用のチューブを挿入し、栄養補給をする方法です。

 実際の作業では、片手でシリンジを操作しながら粘度の高いミキサー食を吸い上げ、胃ろうにつながるチューブにシリンジを接続し、しっかり押さえながら注入します。注入後はチューブからシリンジを外して、再びミキサー食を吸い上げるという作業を繰り返すため、手に大きな負担がかかり、手を傷める介護スタッフも少なくないとのことでした。そこで、この問題を解決するため、実習の一環として、8名のチームを編成し検討を開始しました。

 検討の結果、シリンジをつけ外すことなく、押したり引いたりするだけの動作で、胃ろうにミキサー食を注入できるデバイス(シリンジノズル)を開発することとしました。試作品を作って現場のスタッフの方々に見せたところ、「これをぜひ実用化してほしい」と言う声をいただいたため、本格的に開発を進めることにしました。私は滋賀医科大学に入学する前、メーカーの開発室で勤務しており、試作においては、その時の経験が役立ちました。5号機まで改良を重ねた結果、学内のアイデアコンテスト『第5回SUMSピッチコンテスト』で優秀賞を受賞、その後テックプラングランプリにエントリーすることになりました。

 

 

 

現場のスタッフが献身的に従事しておられる姿が挑戦へのきっかけ

 医療現場では、さまざまな課題があったとしても、その現場が過酷であればあるほど、その大変さが当たり前として認識されてしまうことがあります。現場のスタッフの方々は自分の負担を顧みず、献身的に一生懸命従事しておられます。その姿に感動したことが、今回のデバイス開発に挑戦するきっかけとなりました。

 今回の経験を活かし、将来は医師として医療機器の開発に携わっていきたいと考えています。また、今回の開発は一人では決してここまでできなかったと思いますし、チームで目的を共有することの大切さを学びました。

 

 

 

 これまでの経験を生かし、医療機器開発へ第一歩を踏み出した石山さんは、インタビューの中で「実際に使用するスタッフの意見に耳を傾け、繰り返し改良を重ねたこのデバイスは、多くの方々の協力により現在実用化に向け動き出しています。  現場を体験したからこそ生まれたこのデバイスが、献身的に働くスタッフの負担を軽減する日が来ることを、待ち遠しく思います。」と今後への期待を語ってくれました。

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